就活生の皆さんはガクチカと自己PRの違いをキッチリ理解できているでしょうか?
私自身、現役の人事部として就活生と面接する機会は多いですが、ガクチカと自己PRをしっかりと区別している方は少ないように感じます。


このように考えている就活生もいますが、ガクチカと自己PRの違いを明確に理解しているのとそうでない場合、面接で伝わるニュアンスには大きな差が出ます。
本記事では、ガクチカと自己PRの本質的な違いを説明するのは勿論のこと、
- 面接官がガクチカと自己PRそれぞれをどのように評価しているのか?
- それぞれの構成方法の違いはあるのか?
- ガクチカと自己PRそれぞれでどのように組み立てれば良いか?
まで完璧に解説したいと思います。
本記事の信憑性
- 筆者のRamboは現役の大手企業の新卒採用責任者
- 3年間で1,000名を超える学生との面談・面接を経験
- 専門は新卒採用戦略企画(2,000名参加の企業向けフォーラムで採用戦略が紹介される)
目次
ガクチカと自己PRの違いは?
まずは、本記事を読んで頂いている方の最大の疑問について回答しましょう。
結論から言えば、「目的」が異なります。
具体的に説明するとガクチカと自己PRのそれぞれの目的は以下のように異なります。
ガクチカと自己PRの目的
- ガクチカ:何に熱中するのか?どれだけ頑張れるのか?どのように工夫するのか?を伝える。
- 自己PR:これまでの様々な経験を通して共通するあなたの本質的な長所を伝える。
更にわかりやすいように図にまとめてみました。
ガクチカの定義
ガクチカは「学生時代に最も力を入れた経験」の略称です。
つまり、あなたが学生生活を通じて、最も熱量高く苦労しながら取り組んだ経験と置き換えても良いでしょう。
そのため、ガクチカであなたが面接官に伝えるべき要素は以下の通りということになります。
- 主体的に取り組める
- キツイことがあっても乗り切れる
- 問題に対して試行錯誤して臨める
具体的エピソードで臨場感をもって伝えることが必須と言えるでしょう。
自己PRの定義
一方で、自己PRは学生時代の数々の経験から裏付けられる「あなたの本質的な特性」を伝えることと定義できます。
そのため、自己PRであなたが面接官に伝えるべき要素は以下の通りということになります。
- どのような強み/弱みがあるのか
- あなた自身の価値観
- どのような仕事ができるのか
また、自己PRとは先述の通り、数々の体験から裏付けられる「あなたの本質的な特性」であるため、その主張を支える根拠=エピソードは1つでは弱いです。
能動的に根拠となるようなエピソードを話す必要はありませんが、質問されたら答えられるように準備しておく必要があります。
面接官はガクチカと自己PRをそれぞれどのように評価する?
これまでの説明でガクチカと自己PRの違いについてご理解いただけたかと思います。
本章では更に一歩踏み込んで、現役の面接官としてガクチカと自己PRそれぞれをどのような観点で評価しているのかについて説明しましょう。
面接官が期待しているポイントを把握しておくことで、精度の高いガクチカ・自己PRを構成することができるのでしっかり理解して下さい。
ガクチカと自己PRの評価軸
- ガクチカ:「意欲」「ストレス耐性」「コミュニケーション力」「課題解決力」
- 自己PR:「本質的な強み・弱み」「価値観」「仕事への適性」
では、それぞれについて以下で具体的に説明します。
ガクチカの評価軸は?
ガクチカは「あなたが学生生活を通じて、最も熱量高く苦労しながら取り組んだ経験」を伝えることと定義されます。
そもそも、面接官がガクチカを質問する理由はエピソードを通して以下を確認したいからです。
- 主体的に仕事に取り組むことができそうか?
- 仕事で生じるキツイことを乗り越えるだけの力がありそうか?
- 難題に対して関係者と力を合わせ、最適解を導き出せる力がありそうか?
そのため、面接官は以下をガクチカで語られるエピソードから評価しています。
ガクチカを練る際は、以下の要素を織り込むことを意識すると良いでしょう。
- 意欲:ヴァイタリティ・自走心
- ストレス耐性:状況適応力・メンタルタフネス
- コミュニケーション力:発信力・傾聴力・決断力・共感力・統率力・協調力
- 課題解決力:計画力・分析力・策定力・試行力・独自性・発想力
勿論、全てを満たす必要はありませんが、ガクチカに採用する題材をしっかり吟味してあなたの魅力を少しでも多く織り込みましょう。
ガクチカの題材に困っている方は、以下の記事を参考にしてみて下さい。
続きを見る 続きを見る 続きを見る参考【就活】『アルバイト経験』のガクチカをアピールする方法【例文アリ】
参考【就活】『サークル』のガクチカをアピールする方法【例文アリ】
参考【就活】『ゼミ活動』のガクチカをアピールする方法【例文アリ】
自己PRで評価されること
自己PRは学生時代の数々の経験から裏付けられる「あなたの本質的な特性」を伝えることと定義されます。
面接官が自己PRを聞く理由は以下を確認するためです。
- あなた自身が長所・短所について妥当な自己理解をできているのか?
- 好き・嫌い等の一貫した価値観を持ち合わせているのか?
- あなた自身が仕事の適性を把握しているのか?
そのため、面接官は自己PRを聞き、以下のような要素を評価します。
- 複数のエピソードから裏付けられるか?
- 話に一貫性があるか?
- しっかり深堀って自分の言葉で語られているか?
一方で、「長所・短所・価値観なんて変化するはず!」「まだ働いてないのに向き不向きなんかわからない!」と考える方もいるでしょう。
全くもってその通りです。
実際に企業に所属し、ライフステージが進んだりすることで、あなたの本質的な特性は変化します。
しかし、大切なことは「現時点での」自分の本質を自分自身が明確に説明できることです。
人は常に変化するからと言って、いつまで経っても「今後変わるかも知れないだろ!」なんて言っていても仕方ないです。
就活を人生の節目の一つだと思って明確にポジショニングするようにしましょう。
ガクチカと自己PRの組み立て方の違いは?
では、ガクチカ・自己PRそれぞれの組み立て方の違いを解説したいと思います。
これまで解説した定義の違い、評価の違いを考慮すると構成方法の違いは以下の通りと言えます。
ガクチカと自己PRの構成方法
- ガクチカ:具体的なエピソードを用いて、状況・課題・行動・結果で構成する。
- 自己PR:具体的なエピソードは不要、能力・価値観・適性で構成する。
ガクチカの組み立て方
ガクチカの構成を考える際は「STARの観点」というフレームワークを活用すると初めて話を聞く人にも分かりやすく、コンパクトに伝えることができます。
ガクチカの構成方法(STARの観点)
以下の4つの要素の頭文字をとった、エピソード構成のフレームワークです。
・Situation=状況
その時の状況や背景について簡単に説明します。
・Task=課題・問題
具体的な課題や条件をについて説明します。
・Action=行動
課題解決にあたって取った具体的な行動について説明します。
・Result=結果
取り組みの結果について、事実とあなた自身の振り返りを説明します。
STARの観点の更に詳しい解説は以下の記事を参考にして下さいね。
-
参考面接を突破できるガクチカのフレームワーク【現役面接官が伝授】
続きを見る
自己PRの構成方法
自己PRの構成を考える際は以下の要素を盛り込み、「能力」「価値観」「適性」の順で説明するように心掛けましょう。
自己PRの構成
・能力
様々なエピソードに共通している能力を抽出するようにしましょう。
「なぜ強みと言えるの?」と質問された際に具体的に回答できるように裏付けとなるエピソードを準備しておく必要はあります。
・価値観
何がやりたくて何がやりたくないのか、何が好きで何が嫌いか自分の中での線引きを言語化できるようにしましょう。
・適性
仕事への適性については働いていないので当然不確かなものです。
しかしOB訪問などを利用し、できるだけ多くの社会人と話すことで自身に向いてそう・向いてなさそうは把握できるようになります。
自己PRを語る際、面接官に納得感を抱かせることが重要になります。
これまでの経験をしっかりと分解して、それらに共通する要素を抽出することを心掛けましょう。
ガクチカと自己PRの違いまとめ
いかがでしたでしょうか?
就活生が意外と理解していないガクチカと自己PRについて、その違いを徹底的に解説させていただきました。
最後に、本記事でお伝えしたポイントを整理しておきます。
本記事のポイント
- ガクチカと自己PRは「目的」が違う
- ガクチカと自己PRは「評価基準」が違う
- ガクチカと自己PRは「構成方法」が違う
ガクチカと自己PRの違いを正しく理解して、面接官が求めていることに正しく答えられるようにしましょう。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。