就活はエントリーシートの提出や面接等、数々のステップにおいて必ずと言っていいほど質問される「学生時代に一番頑張ったこと」いわゆる「ガクチカ」。
就活生であれば、必ず準備するガクチカですが、あなたのガクチカはちゃんと面接官に理解してもらえていますか?
実は「伝えたつもり」なっているだけで、面接官には「伝わっていない」ことが非常に多いです。
心理学で有名な「メラビアンの法則」においても、初対面の他者とのコミュニケーションにおいて言葉そのものはわずか7%しか伝達しないと実証されている。(諸説あるが)
つまり、「言葉」を面接官に伝達させるためには相応の努力が必要ということです。
そこで本記事ではガクチカの伝達率を飛躍的に向上させるフレームワークを紹介したいと思います。
本記事をしっかり読んで頂けば、きっと皆さんのガクチカが人事部の印象に残り、評価されるようになります。
目次
そもそもガクチカとは?
ガクチカとはガク生時代に最もチカラを入れたエピソードの略語でよく使われる就活用語ですね。
就職活動において最も頻繁にされる質問です。
ガクチカをしっかりと考えておくことは必須と言えるでしょう!
ガクチカの前提条件
ガクチカの大前提は「何に熱中したのか?」「どれだけがんばれたのか?」「どう工夫したのか?」という観点に答えられるエピソードを採用することです。
あたながガクチカとして採用しようと考えているエピソードですが、本当に頑張ったエピソードでしょうか?
よく以下のようなエピソードを聞きます。
- サークルで人間関係を良好にするために積極的に後輩とご飯に行った
- バイト先の売上を向上するためにお客様に愛想よく接客した
このようなエピソードに対して、大抵の面接官は以下のような感想を抱いてしまいます。
大前提として客観的に頑張ったと思われるエピソードをチョイスして下さい!
ガクチカのフレームワーク:「何を」「どのように」伝えるか
冒頭に説明したとおり、何の工夫も凝らさずにガクチカを初対面の面接官に話した場合、あなたのガクチカはわずか7%程度しか聞かれていません。
そのため、相手に「何を(What)」「どのように(How)」伝えるのか戦略を練る必要があります。
「何」を伝えるのか?図解で説明!
では、ガクチカにおいて伝えるべきことは何か?
結論から言うと、ズバリあなたの「能力」です。
ただし、何の脈絡もなく「私は〇〇という能力があります!」と語っても面接官を納得させることはできません。
以下の図のように構造的にガクチカを練り上げて伝える必要があります。
「どのように(How)」伝えるのか?ガクチカのフレームワーク:STARの法則
では伝えたいことを「どのように」伝えればよいのでしょうか?
その疑問に答えるために、ガクチカを明確にわかりやすく伝える枠組みとしてSTARの法則を紹介します。
以下のSTARの法則を参考に要点を整理したガクチカを構成するようにしましょう。
ポイント
・Situation=状況
その時の状況や背景について簡単に説明します。
・Task=課題・問題
具体的な課題や条件をについて説明します。
・Action=行動
課題解決にあたって取った具体的な行動について説明します。
・Result=結果
取り組みの結果について、事実とあなた自身の振り返りを説明します。
では、それぞれどのようなことに留意すべきなのか説明します。
状況(Situation) 重要度★★☆
まず「状況」の説明についてですが、人事部はあなたの話を初めて聞きます。
にもかかわらずに専門的な用語を使ったり、無意識の内に重要な要素を省略してしまったりします。
初めてそのエピソードを聞く人にも理解できるように、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」が明確なのか確認しましょう!
課題・問題(Task) 重要度★★★
あなたが置かれていた状況において何を問題と捉えたのか、なぜそれが問題なのかを伝える必要があります。
ここでは、あなたが活動の中で何を目標・目的とするのか、また難易度の高い課題に挑戦できるのかが重要なポイントになります。
ですので、検討する際は常に「なぜ?」「なぜ?」で深めるようにして下さい!
最終的には、あなたの考え方が明確になるような「課題の捉え方」を説明できるようにしましょう。
行動(Action) 重要度★★★
ガクチカの根幹となる「行動」について説明します。
課題解決にあたってあなたが実際に行動したことを説明するパートになりますので、人事部はこのパートにおいて実務的な能力を判断しようとします。
では、どのような能力について説明すればよいのでしょうか?
以下のような切り口で説明すると面接官にあなたの能力が伝わりやすくなります。
能力の切り口
- 対課題力:仕事を処理するスピード、仕事のクオリティに関係する能力
- 対自分力:自分の行動や思考をコントロールする際に必要となる能力
- 対人力:人とのコミュニケーション能力
具体的な能力については以下の記事にまとめておりますので、是非参考にして下さい。
参考自己PRでアピールできる24個の強み一覧【評価される強み大公開】
続きを見る
結果(Resalt) 重要度★☆☆
よく就活サイトやセミナー等で具体的な数字を示しましょう!なんて言ったりしますが、ぶっちゃけ人事部の立場からすると全く興味ないです。
人事部が興味があるのは目の前の学生がその結果をどう受け止めているか、これのみです。
ですので、その結果を受けてどのような感情を抱いたのか、今後どうしたいと思ったのか、何を学んだのか、しっかり説明しましょう!
ガクチカに採用すべきエピソード
最後に、ガクチカとして選ぶべきエピソードについて説明していきたいと思います。
基本的には「頑張った」エピソードをSTARの法則をしっかり踏襲して説明できれば、話題については何でも良いです。
ただし、人気の大企業や難関企業を志望する場合はそうもいきません。
大企業や難関企業の人事部は一日に何十人も学生と面接しています。
同じようなエピソードが何十人も続くと、学生話に飽きるし、一人一人の学生のガクチをカ覚えられないです。
そこで、ここからは現役の大手企業の人事部である私が1,000名以上と面接を実施し、印象に残った学生のガクチカに共通する要素を紹介します!
自身の考え方・価値観が現れているエピソードにしよう
ガクチカとして特に多いのが、アルバイト・サークル・部活動・ゼミ活動になります。
しかし、よくあるエピソードであっても学生によって優劣がはっきりとつきます。
同じ状況で同じような課題を抱え、同じように解決しているのに優劣がつくのはなぜでしょうか?
それは、優れたガクチカには自身の考え方・価値観が色濃く表れているためです。
人事部は事実よりもその裏にある学生自身の考え方や価値観を知りたくで面接を行っているのです。
ここからは具体例で説明しましょう。
具体例
【課題】
ゼミ活動で5人1組で共同研究していたがモチベーションに差があることが課題だと考えた
【行動】
ゼミ生のモチベーションを向上させるため、タスクの割り振りを見直した
このようなエピソードを考えている人は多いんじゃないでしょうか?
では、考え方や価値観をしっかり表現できるガクチカであれば、どのように表現できるのでしょうか?
具体例
【課題】
ゼミ活動で5人1組で共同研究していたがモチベーションに差があることが問題だと考えた
(なぜ?)他人と力を合わせたほうが良い研究ができると考えたため、課題であると考えたから。
(なぜ?)人それぞれに観点があり、それらを織り交ぜてこそ良いモノが生まれるという価値観があるから。
【行動】
ゼミ生のモチベーションを向上させるため、タスクの割り振りを見直した
(どのように?)ゼミ生それぞれのやりたいこと・できることを分析し、各人の状況に応じたタスクを振り分けた
(どのように?)自身は論理的に物事を捉えることが得意であるため、①②のような方策を講じた。
①研究を計画・施策立案・プレゼンの3ステップに分け適材適所に担当を割り振った
②部活・バイト等の各人のスケジュールをGoogleカレンダーで管理し、無理のない範囲でタスクを割り振った
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以上のようにしっかりと自身の価値観や考え方を表せるエピソードであれば、「なぜ?」「どのように?」を掘り下げられてもしっかりと答えられるはずです。
逆に掘り下げられることによって人物像がクリアになり、人事の印象に残りやすくなるのです。
面接官がどのようにエピソードを掘り下げるのか知りたい方は以下の記事を読んでみて下さい。
参考【必見】面接官にエピソードを深堀された時に上手く答えるコツ
続きを見る
オリジナルの表現方法ができるエピソード
面接シーズン、セミナーや就活本で教えられたテンプレ通りの同じような話を一日に何回も聞いているのです。
面接官がそのような状態にあることを理解すれば、印象に残る方法も自ずと見えてくるハズです。
そう、同じようなガクチカを聞いて辟易としている人事部に印象に残るオリジナリティのあるガクチカを話せば良いのです。
オリジナリティを表現すると聞けば難しく感じるかも知れませんが、実は非常にシンプルなのです。
ズバリ、抽象的表現ではなく具体的な表現で自身をアピールすれば良いのです。
例えば、「相手の立場に立てる」ことをアピールしたいとします。
そのまま伝えても、「相手の立場に立てる」とアピールするガクチカを披露する学生はごまんといるので、全く人事部の印象に残らないでしょう。
しかし「嫌いな相手でもその人の立場に立てる」と少し修飾するだけで、グッとその人の人物像がクリアになり、印象に残りやすくなります。
是非、自身の特徴を具体的に表現できるエピソード(=オリジナリティを表現できるエピソード)を採用し、ライバルと差をつけることを意識しましょう!
周囲の人と関わったガクチカがベター
よく聞くガクチカで勉学や資格取得に励んだエピーソードがあります。
勿論、その人の持続力や忍耐力を評価する材料にはなるでしょう。
しかし、企業では基本的には組織として働くため、面接官は学生の他人との関わり方も最重要項目として確認したいと考えているのです。
そのため、ガクチカの中に他人との関わり方が見えないと対人力が評価しようがないのです。
できれば周囲の人との関わり方を示せる取り組みを語るほうがベターと言えるでしょう。
ワンランク上のガクチカの書き方
ガクチカの基本的な書き方はご紹介した通りです。
では、更にワンランク上の評価を得るためには何を意識すべきなのでしょうか?
再現性を意識する
人事部に評価されるガクチカに仕上げるために、アピールする能力が「再現性の高いか?」確認しましょう!
「再現性」の高い能力とは、「会社でも発揮できる能力だ」と感じさせられる能力です。
ではどのようにすれば、再現性をアピールできるのでしょうか?
以下の2つのポイントを意識して再現性の高さをアピールすることを心がけて下さい!
ポイント
- エピソード内で一貫性を持たせて複数回アピールする
- 他のエピソードに置いても発揮されていることをアピールする
相対性を意識する
人事部に評価されるガクチカに仕上げるため、アピールする能力が「相対的に見て強みと言えるのか?」確認しましょう!
例えば、以下のような学生が2人いる場合人事部がどのように評価するか考えてみましょう。
例
- 学生Aは「交渉力が強み」
- 学生Bは「交渉力が弱み」
これだけでは実はどちらの交渉力が高い能力なのか評価できません。
更にガクチカを聞いてみて、以下のようなエピソードが出てき場合はどうでしょうか?
例
- 学生Aが交渉力が強みと感じたのは「サークルで同級生にお願いごとをしたとき」
- 学生Bが交渉力が弱みと感じたのは「海外長期インターンで外国人のクライアントに営業をしたとき」
相対的に評価すると、明らかに学生Bのエピーソードの方が交渉の難易度が高いので、学生A<学生Bになりませんか?
このように、面接官はエピソードの難易度によって学生の能力を相対評価するのです。
ワンランク上のガクチカを構成するために必要な「再現性」と「相対性」を伝える方法は以下の記事を参考にして下さい。
参考【就活】面接官にささる自己PRの伝え方(現役採用担当が解説)
続きを見る
ガクチカの書き方まとめ
いかがでしたでしょうか?
最後に本記事でお伝えしたガクチカを書く上でのポイントを整理しておきます。
ガクチカを書くポイント
- 面接官に話しの内容は「伝わっていない」前提で考える。
- 客観的に頑張ったと思われるエピソードをチョイスする。
- 「何を」「どのように」伝えるのか考え抜く。
- 優れたガクチカには価値観・考え方が色濃く表れる。
- アピールする能力が「再現性の高いか?」意識する!
- アピールする能力が「相対的に見て強みと言えるのか?」意識する!
以上、本日はガクチカの書き方と評価されるポイントについて紹介いたしました。
本記事が皆さんの就職活動にお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました!
引き続き、人事部の目線から就職活動に役立つ情報を発信していきたいと思います!